FRPタンクの取り扱いについて
FRPタンクも車と同様に日常点検や自主点検が必要となります。
何をどのようにおこなうのが適切なのかご説明いたします。
円筒型タンク/円筒横型タンクの場合
円筒型のFRPタンクの場合、以下の点を定期的に確認いただくことを推奨します。
日常的な目視点検
設備の担当者が日常的に目視点検を行う際は、以下の点に注目してください。
- ノズル部/マンホール部からの液漏れ
- タンクの変色
違和感を感じる場合は、該当箇所の写真を撮影し、メーカーの担当者へ相談してください。メーカーの観点から異常かどうか判断が可能です。
槽内部の目視確認
タンク内を空にするタイミングがある場合には、入槽して内部を確認することを推奨します。
その際は以下の点に注目してください。
- 変色
- ガラス繊維の表出
- クラック(ひび割れ)や剥離の有無
日常点検と同様、違和感を感じる場合は、該当箇所の写真を撮影し、メーカーの担当者へ相談してください。
内部確認時には、【酸素濃度の管理】【薬液の飛散防止】【液入配管の完全仕切り】などの安全対策を十分にとった上で入槽をおこない、注意して実施してください。
角型槽の場合
角型のFRPタンクの場合、以下の点を定期的に確認いただくことを推奨します。
角型槽には金属製の鋼材をFRPで覆った補強枠と呼ばれる枠が付いています。補強枠は槽としての強度を担うものなので、補強枠の強度が低下してしまうと槽として非常に危険な状態となってしまいます。
酸洗槽やメッキ槽の場合、使用しているうちにこの補強枠に持ち出し液が付いてしまうことがあります。補強枠に内容液が付いたまま放っておくと、内容液が蒸発して濃縮することで、FRPが高濃度の薬液によって劣化してしまい、クラックの発生につながることがございます。
そのまま放置していると、クラック部から酸や水分が侵入し、補強の腐蝕や錆の発生を引き起こします。腐蝕や錆によって鉄が膨張し、覆っているFRPを押し上げて大きな剥離に繋がります。
日常的な目視点検
設備の担当者が日常的に目視点検を行う際は、以下の点に注目してください。
- 補強枠のFRPオーバーレイに異常がないか目視でチェックする。
- 補強枠に持ち出し液が掛かっている範囲を水洗い(見える範囲で結構です)
槽内部の目視確認
メッキ槽や水洗槽など、金属製品を浸漬するような槽については、内面への接触によってクラックが発生する可能性がありますので、槽内を空にするタイミングがありましたら内面の確認を推奨いたします。
クラックや破損が見つかった場合には、該当箇所の写真を撮影し、メーカーの担当者へ相談してください。早急に対策することで、最小限の補修で対応できることも多いです。
FRPタンク周辺機器のメンテナンス
撹拌機やスクラバー、熱交換器といったFRPタンクの周辺機器にも日常点検は必要となります。
撹拌機のメンテナンス
撹拌機の場合、以下の点を定期的に確認いただくことを推奨します。
- 電流値の確認
- 異音や振動の有無
- 取付ボルトのゆるみ
- オイルやグリースの確認
- シール部(ウォーターシール/グランドシール等)の確認
などが挙げられます。
スクラバーのメンテナンス
スクラバーの場合、以下の点を定期的に確認いただくことを推奨します。
- ファンやポンプの電流値の確認
- ファンやポンプの異音や振動の確認
また、以下の場合は、スクラバーによるガス処理がうまくいっていない可能性があります。
- 最近スクラバー周辺のにおいが気になるようになった。
- 煙突から今まで以上に白煙が出ている
- 作業エリアでの環境に異変を感じる(吸引不足による異臭や周辺の腐食など)
などの症状が出ている場合、スクラバーによるガス処理がうまくいっていない可能性があります。
その場合は、スクラバー本体の点検を推奨します。
スクラバーの点検事項は、
- デミスターの<目詰まり>や<めくれ>の有無
- シャワーパイプやシャワーノズルに詰まりがないか
- 充填物にごみや結晶が堆積していないか
- シャワー水が正しく管理されているか(pH値や水量等)
などが挙げられます。
スクラバーと内部に汚れや結晶が詰まってしまうと、空気が適切に通過せずにうまく排ガスを処理できなくなります。対策としては、内部部品の清掃または交換のどちらかとなります。
また、シャワー水をガスに接触させて処理するため、シャワー水が想定の状態と異なる場合、うまくガス処理ができないことがあります。
判断がつかない場合や改善がみられない場合などは、一度メーカーにご相談ください。
熱交換器のメンテナンス
熱交換器の場合、以下の点を定期的に確認いただくことを推奨します。
- 蒸気配管の腐蝕
- チューブからの漏れ
- 処理液の増加
- 目視による破損の有無(タンク内が空液状態のタイミング)
などが挙げられます。
早期発見が重要
日常的な点検によって早期発見できれば、軽微な補修作業で済むことも多いです。
自社内での点検では不安な場合は、専門業者へ依頼することも一つの方法です。
当社ではFRPタンクの点検を行っておりますので、点検が必要な場合はぜひご相談ください。